
米政権が世界各国から徴収した数十兆円規模の関税収入が、そのまま中東での戦争資金に充てられる可能性があるとの懸念が出ている。
米財務省と米国税関・国境警備局(CBP)の統計によると、トランプ政権の2期目発足以降、世界各国を対象に課された相互関税により、米国は昨年末までに約1,335億ドル(約21兆270億円)の歳入を得た。しかし、先月28日(現地時間)、米国とイスラエルがイランに対する大規模攻撃「エピック・フューリー(壮絶な怒り)作戦」を実行したことで、今後は天文学的規模の軍事費が発生する可能性が指摘されている。
米経済メディアのフォーチュンは2日、ペンシルベニア大学の「ペン・ウォートン・バジェット・モデル(PWBM)」所長ケント・スメッターズ氏の分析を引用し、「米国による対イラン攻撃の総経済的コストが最大2,100億ドル(約33兆700億円)に達する可能性がある」と報じた。推定されるコストの内訳を見ると、直接的な軍事作戦や消耗した装備・弾薬の補充などに約650億ドル(約10兆2,400億円)が必要と試算された。

さらに、本格的な空爆が始まる前の段階でも、米軍がすでに相当額の税金を中東に投入していることが明らかになっている。エレイン・マッカーサー前国防省予算担当者は米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに対し、「米国防総省が航空母艦や戦闘機などの軍事資産を中東に事前配備するため、すでに約6億3,000万ドル(約990億2,100円)が費やされた」と説明した。
こうした事態が現実となれば、トランプ政権は過去1年間に世界各国に圧力をかけて徴収した関税収入約21兆円を戦争費用として消耗することになり、さらに追加の財政支出を迫られる可能性もある。
軍事作戦による間接的な影響も無視できない。イランがホルムズ海峡を封鎖した場合、貿易の混乱やエネルギー供給網の混乱、金融市場のリスク拡大などが懸念されている。今回の戦争がもたらすマクロ経済的損失は、推計で約1,150億ドル(約18兆1,100億円)に達する。
「イランのミサイル400発を防ぐのに最大1兆5,000億円」
問題は、イランが米国や中東の同盟国の迎撃ミサイルの備蓄を枯渇させる戦略を取っているとみられる点だ。そのため、米国の「高価な兵器」が現在も急速に消費されているとの指摘が出ている。これは、戦争が終結した後も、米政権が減少した兵器の備蓄を補充するために多額の予算を投じなければならない可能性があることを意味している。
ウクライナの軍事専門メディアディフェンス・エクスプレスは2日、専門家の分析を引用し、地対空ミサイルシステムであるパトリオットミサイルシステムだけでイランのミサイル400発を迎撃する場合、費用は41億ドル(約6,500億円)から最大96億ドル(約1兆5,100億円)に達する可能性があるとの見方を示した。
また、ノルウェーの防空専門メディアNorsk Luftvernは、「攻撃と防御のコストの非対称性は、構造的に攻撃側に有利に働く」と指摘した。そのうえで、「昨年の『十二日間戦争』では迎撃ミサイルだけで20億~40億ドル(約3,150億~6,300億円)が費やされた。一方、イラン側の攻撃ミサイルの生産費用はそれよりはるかに低かった」と説明した。
イラン戦争、結局は中間選挙の敗因になるのか
今回の事態を受け、トランプ大統領と政権が直面しているもう一つの課題は世論だ。米国の納税者の多くが、巨額の戦費負担を伴うトランプ政権のイラン空爆に概ね反対していることが明らかになった。
2日、米CNNが世論調査機関SSRSに依頼して発表した結果によると、イラン攻撃の決定を支持しないと答えた回答者は全体の59%に上り、地上軍の派遣に反対すると答えた回答者も60%に達した。さらに、「アメリカ・ファースト」を掲げてトランプ大統領を支持してきた「MAGA(メイク・アメリカ・グレート・アゲイン)」の内部でも、イラン戦争が米国に実質的な利益をもたらすのかを巡り、意見が分裂しているとの見方が出ている。
一方、先月24日、米連邦最高裁判所が相互関税を違法と判断したため、トランプ政権が返還を迫られる関税収入も相当額に上るとみられている。イェール大学予算研究所の分析によると、すでに1,500社以上の企業がトランプ政権を相手取り、関税の返還を求める訴訟を起こしている。トランプ政権が返還を余儀なくされる関税額は、約1,420億ドル(約22兆3,700億円)に達すると試算されている。
関税として約21兆円を徴収した一方で、約22兆円の還付金を返還する可能性があり、さらに約32兆円規模の戦費も負担しなければならない状況に置かれたトランプ大統領が、今年11月の中間選挙でどのような結末を迎えるのか、世界の関心が集まっている。
















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