
エネルギー専門家たちは、これまで原油先物市場が実際の現物市場の動きと大きく乖離していると警告してきた。しかし、著名な原油アナリストはこの乖離が近く、避けられない現実として表面化するとの見方を示している。
原油先物市場は米国とイランの和平協議への期待感から一定の安心感を保ってきた。米国産標準油種のWTI原油は依然として1バレル当たり100ドル(約1万6,000円)を下回っている一方、国際指標のブレント原油は再び100ドルを上回った。また、投資家が戦争リスクを過小評価する中、株式市場は過去最高値を更新する動きも見られている。
しかし、エネルギー調査会社サンキーリサーチのポール・サンキー代表は、戦争以前にペルシャ湾から積み出された原油が現在になってようやく目的地に到着していると指摘した。すなわち、ホルムズ海峡が40日以上にわたり封鎖状態にあった影響で、新たな供給が滞っている現実がいよいよ顕在化しつつあるという。
サンキー代表は23日、ブルームバーグのテレビ番組に出演し「今後数カ月間、状況は残念ながら大きく悪化する可能性が高い。すでにその流れの中に組み込まれている」と述べた。中東産原油の新規流入が細り、各国が備蓄原油の放出に頼っているほか在庫指標も「急速に悪化し始めている」と指摘した。
さらにサンキー代表は通常の原油市場の見通しとは異なり、今回は悪化が避けられない可能性が高いと強調した。一般に原油価格の予測は外部要因に左右されやすいが、今回は事情が異なるという。仮に海峡が翌日に再開されたとしても「今後2カ月程度は供給面で深刻な混乱が続く」との見方を示した。これは、タンカーの航行特性上、既に物流の流れが固定化され、船舶の配置が大きく乱れているためだと説明している。
サンキー代表はまた、日本や米国のように十分な原油備蓄を持つ国であっても、追加の放出は次第に難しくなる可能性があると指摘した。貯蔵タンクの残量が減るほど負担が増すためで、市場に実際に供給できる量は統計上の数値より少ない可能性があるという。
需給逼迫の転機は来月にも訪れる可能性がある。JPモルガンのアナリストは21日のメモで、経済協力開発機構加盟国の商業用原油在庫が5月9日から30日の間に「運用上の最低水準」に達する可能性があると予測した。この水準に達すると、価格上昇は緩やかではなく急激に進む恐れがあるとしている。
また、仮に戦争が終結した場合でも、原油供給網の正常化には相当の時間を要するとみられる。港湾の再開には最大で約2カ月を要し、タンカー乗組員が安全を確信して海峡航行を再開するまでにも2〜3週間程度が必要と予測されている。JPモルガンは生産量が能力の約99%まで回復するまでに最大4カ月かかると推定した。
原材料取引大手ガンバー・グループで分析責任者を務めるフレデリック・ラセール氏も同様の見方を示した。21日に開かれた業界会議でイラン戦争がさらに1カ月続いた場合、原油市場は備蓄をほぼ使い切り「貯蔵タンクが底を突く」可能性があると警告した。
さらに、資源取引大手トラフィグラ・グループの主任エコノミストであるサード・ラヒム氏は、今回の衝突により既に約10億バレル分の供給が市場から失われたとの試算を示した。戦闘が長期化すれば、その規模は15億バレルに達する可能性があるとし「市場の認識と実際の供給状況の間には大きな乖離が存在している」と指摘した。














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