
ロシアのエネルギー施設への攻撃を激化させているウクライナが、ドローン攻撃の範囲をシベリア南西部まで拡大した。
エネルギーインフラへの攻撃で原油供給に支障が生じているロシアは、すでに限界に近づいている防空体制で、さらに広い地域を防衛しなければならないというジレンマに直面している。
9日(現地時間)、米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」によると、ウクライナは6日、ドローンを使ってロシア最大の製油施設とされるシベリアのオムスク製油所を攻撃した。
オムスク製油所は、ウクライナから直線距離で1,500マイル(約2,400km)以上離れた場所にある。
これまでウクライナのドローン攻撃は、1,000マイル(約1,600km)以内の地域に限られていた。
そのため、ロシア当局はウクライナがオムスク製油所までドローン攻撃を仕掛けるとは予想していなかったとみられる。
ロシア最大の製油施設でありながら、十分な防空体制を敷いていなかったのも、そのためとみられている。
しかし、ウクライナはこうした予想を覆し、開戦以来最長距離とされる攻撃を実施した。
さらに、ロシアの防空網を避けるため、飛行距離が長くなる迂回ルートまで選択した。
これは、ウクライナの長距離攻撃の範囲が大幅に拡大したことを示している。
ウクライナの防衛企業「ファイアポイント」は、今回の作戦に投入されたドローンの最大航続距離は2,100マイル(約3,380km)だと明らかにした。
これにより、西シベリアの石油・ガス産業の中心地だけでなく、主要な軍事施設も射程圏内に入る。
北極圏のヤマル半島にあるロシアの主要な液化天然ガス(LNG)ターミナルや、ロシア軍需産業の機密性の高い施設も攻撃可能な範囲に含まれる。
このため、ウクライナによるオムスク攻撃は、戦局を一変させる出来事になる可能性があるとの見方も出ている。
英オックスフォード・エネルギー研究所のジェームズ・ヘンダーソン研究員は、「ある意味では、オムスクへの攻撃が最後の決定打になる可能性もある」とした上で、「ウクライナが攻撃範囲を広げるほど、ロシアのエネルギーシステムへの打撃はさらに深刻になるだろう」と指摘した。
実際、ロシアはすでにウクライナのドローン攻勢によってエネルギー危機に直面している。
主要な製油施設の多くが攻撃を受け、ガソリンの生産量は少なくとも4分の1程度減少したと推定されている。
各地のガソリンスタンドでは長い列ができ、航空燃料や軽油の輸出禁止措置も取られた。
しかし、西側諸国の制裁により、近隣の欧州からガソリンを輸入することもできない状況だ。
安価な燃料に慣れた経済を維持するため、補助金支出を増やさなければならない一方、石油製品の輸出収入は減少しており、ロシアにとって大きな課題となっている。
ウクライナによる攻撃が続き、ロシアの燃料危機がさらに深刻化すれば、連鎖的な影響が広がる可能性もある。
ロシアのエネルギー専門家ミハイル・クルチヒン氏は、「燃料不足は軍需物資の不足につながり、食料を含む消費財の輸送にも支障を来すだろう」と述べた。
ウクライナと西側諸国の当局者は、こうした圧力が強まり、プーチン大統領を戦争終結へと追い込めることを期待している。
ロシアの元エネルギー次官で、現在は亡命している政治家のウラジーミル・ミロフ氏は、「燃料危機は財政に大きな圧力をかけ、財政赤字を拡大させている。その結果、ロシアは戦争終結を検討する必要に迫られる可能性がある」と述べた。
防衛しなければならない領土が広大であることも、ロシアにとって弱点となっている。
ウクライナ国家戦略研究所のミコラ・ビエリエスコフ氏は、「ロシアはわれわれよりはるかに広い国土を持っており、攻撃する側のわれわれにとっては、こうした地理的条件が有利に働く」とした上で、「攻撃を受ける側からすれば、次にどこが標的になるのか予測できず、防衛は極めて難しい」と説明した。
一方、プーチン大統領は依然として、ウクライナの攻撃を心理戦の一環と位置付けている。
プーチン大統領は8日の閣議で、「敵が経済に打撃を与えようとしていることは明らかだ。しかし、彼らの主な目的は社会に緊張を生み出すことだ」と述べ、「われわれは皆、それが不可能な課題であることを理解している。ロシアのエネルギーシステムは極めて強靱であり、世界最高水準だ」と強調した。















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