
コーヒー豆を使わずにコーヒーの風味を再現した飲料が、日本市場に相次いで登場する見通しだ。気候変動によるコーヒー豆の供給不安が高まるなか、コカ・コーラとアサヒ飲料が代替原料を活用した「豆なしコーヒー」の開発・販売に乗り出した。
日本経済新聞は18日、コカ・コーラグループとアサヒ飲料が今秋以降、コーヒー豆を使用しない、いわゆる「豆なしコーヒー」を投入すると報じた。成熟市場である日本のコーヒー飲料市場で、代替原料を巡る競争が本格化しつつある。
コカ・コーラグループは9月、主力ブランド「ジョージア」から、豆なしコーヒー製品「CAFE WATER」を発売する。世界で初めて日本市場に投入する製品だ。
この製品は、トウモロコシ由来の食物繊維を活用し、香り成分に加え、甘味や苦味、酸味を生み出す原料を組み合わせることでコーヒーの風味を再現した。日本コカ・コーラの担当者は「水のように気軽に飲める一方で、コーヒー特有の香りや風味も楽しめる」と説明している。
一方、アサヒ飲料はコカ・コーラとは異なるアプローチを採用した。植物由来のカフェインを使用し、コーヒーを飲んだ際に感じる香りや苦味の再現に重点を置いている。
アサヒ飲料はまず、カフェラテ風飲料「未来のLATTE」を年内に発売し、コーヒー風飲料「未来のBLACK」を2027年ごろに投入する計画だ。使用する代替原料については明らかにしていない。
飲料メーカー各社が豆なし製品の開発を進める背景には、コーヒー豆の安定調達に対する懸念がある。米国のコーヒー研究機関「ワールドコーヒーリサーチ」によると、気候変動の影響により、主要品種であるアラビカ種の栽培に適した地域は2050年までに半減する可能性があるという。

アラビカ種の国際価格指標となる米インターコンチネンタル取引所(ICE)のニューヨーク先物価格は、2025年に一時1ポンド当たり4ドル(約640円)を突破した。足元ではブラジルを中心とした増産観測を背景に価格はやや落ち着いているものの、供給リスクは依然として残っている。
日本は世界第4位のコーヒー消費国で、缶コーヒーやペットボトル入りコーヒー飲料の市場も大きい。飲料市場調査会社の飲料総研によると、コカ・コーラグループの「ジョージア」は2025年に9180万ケースを販売し、飲料ブランド別販売数量で国内3位となった。コカ・コーラグループがまず日本で商品を投入することから、今後の海外展開の可能性を占う試金石になるとの見方も出ている。
しかし、「豆なしコーヒー」が市場に定着するには、ブランド認知や表示上の課題を乗り越える必要がある。コーヒー豆を使用していない製品は、商品名やパッケージに「コーヒー」と表記しにくいためだ。コカ・コーラグループは、消費者の誤認を防ぐためコーヒー豆のロゴを使用しない一方、「ジョージア」のブランド力を活用して味への期待感を高める方針としている。
米国では、「豆なしコーヒー」市場が日本に先行して立ち上がっている。2019年創業の食品スタートアップ「Atomo Coffee」は、農業廃棄物を原料としたエスプレッソ向けの粉末製品を開発し、緑茶由来のカフェインを加えることでコーヒーの風味を再現した。現在はコーヒー豆と代替原料を組み合わせた商品も販売している。
日本のビール市場では、かつて税負担を抑えるために麦芽比率を下げた発泡酒や「第3のビール」が登場し、その後大きな市場へと成長した。原料供給リスクや価格高騰への対応策として登場した「豆なしコーヒー」が、一時的な代替品にとどまらず、新たな飲料市場として定着するかが注目されると日経は伝えている。













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