「法では勝ったが、民心を失った」LV、中国のミルクティー店に“約2億5,000万円賠償”

中国で約2,000店舗を展開するミルクティーブランド「茉莉奶白(モリーナイバイ)」が、フランスの高級ブランド、ルイ・ヴィトン(LV)から商標権侵害で訴えられた。中国の裁判所はLV側の主張を認め、茉莉奶白に1,030万元(約2億4,600万円)の賠償を命じた。一方、中国のネット上ではLVへの批判も相次いでいる。
ハイバオニュースが9日に報じたところによると、中国・江蘇省蘇州市中級人民法院はこのほど、LVが茉莉奶白を相手取って起こした商標権侵害訴訟で、原告勝訴の一審判決を言い渡した。
裁判所は、茉莉奶白が使用していた四つ葉の花模様が、LVの登録する7件の花柄商標と非常に似ていると判断した。運営会社に対し、経済的損失1,000万元(約2億3,900万円)と権利保護費用30万元(約717万5,200円)の計1,030万元(約2億4,600万円)を支払うよう命じた。
判決直後、茉莉奶白は公式アプリとブランドロゴの一部を急きょ変更した。従来の白黒による平面的なデザインは、色付きの立体的な金属調デザインに変わった。
茉莉奶白は2021年に中国・深圳で事業を開始した新興ミルクティーブランドだ。昨年だけで1,000店舗以上を新規出店し、現在は約2,000店舗を展開している。創業者の張伯丞氏は「15日以内に控訴する」と表明した。
しかし、中国のネット上の反応は裁判所の判断とは異なった。ネットユーザーからは「ロゴがLVに似ているから、このミルクティーを飲む人がいるのか」「数十万円するバッグと数百円のミルクティーは競合関係でもないのに、やり過ぎではないか」など、LVを批判する声が上がった。
一部のネットユーザーは、唐代の琵琶に刻まれた月桂樹の花模様や中国の伝統建築に使われている装飾を挙げ、「LVの花模様も、中国の伝統文様の影響を受けたものではないか」と主張した。
一方、専門家は文化と商標権は別の問題だと指摘している。商標法が保護するのは花という題材そのものではなく、消費者が特定のブランドを連想するように作られた独自の商業デザインであるためだ。
中国・上海の知的財産権に詳しい弁護士は「ナイキやジャガーのロゴのように、自然や伝統文様から着想を得ることは珍しくない」とした上で、「唐代の月桂樹の花模様が存在するからといって、LVの商標権が消滅するわけではない」と説明した。
法的にも茉莉奶白は不利な状況にあった。同社は昨年から花模様の商標を複数回出願したが、いずれも拒絶された。それでも同じロゴの使用を続け、行政訴訟による異議申し立ても行わなかった。
裁判所はこの点を重視した。商標登録が拒絶されたことを認識しながら使用を続けた事実が、故意による侵害と判断する根拠になった。
賠償額が1,030万元に達したのも同様の理由によるものだ。中国の商標法では、一般的な法定損害賠償の上限は500万元(約1億2,000万円)だが、裁判所はLVが提出した証拠、店舗数、業界の平均利益率、侵害商品の販売規模などを総合し、侵害によって得た利益を算定した。
裁判所は、消費者が「LVがミルクティーを販売している」と誤解する可能性は低い一方、「LVと提携または特別な関係にあるブランド」と誤認する可能性は十分にあると判断した。
茉莉奶白は、飲料カップだけでなく、香水や紅包(お年玉袋)、各種グッズにも似た花模様を使用してきた。SNSには「LV風ミルクティー」「LVの代替ブランド」などと紹介する投稿も少なくなかった。
業界関係者は、こうした投稿も商標権侵害を裏付ける間接的な証拠になり得るとみている。
一審ではLV側の全面勝訴となったが、世論では必ずしも同じ結果とはならなかった。
中国では「法では勝ったが、民心を失った」との声も少なくない。一方、専門家は「今回の判決は伝統文様を保護するかどうかではなく、登録商標をどこまで保護するかを判断したものだ」とし、文化遺産と知的財産権は別の問題だと指摘している。
















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