
メモリ半導体の供給不足が、自動車産業にも影響を及ぼすとの懸念が広がっている。ソフトウエア定義型車両(SDV)の普及により、自動車分野でもメモリ需要が急拡大する一方、メモリ供給が人工知能(AI)向けに集中し、需給逼迫が深刻化するとの見方が強まっている。一部の車載半導体メーカーでは、メモリ不足を理由に製品設計の変更を迫られる可能性も指摘されている。
業界関係者によると、メモリ半導体の需給難を背景に、車載半導体の価格上昇や供給不足が予想されている。半導体業界関係者は「今年上半期以降、車載半導体のサプライチェーンにリスクが顕在化する恐れがある」とした上で、「業界内ではメモリ価格が2倍以上に上昇するとの見方も出ている」と語る。
「UBS証券」も「メモリ供給不足は世界の自動車産業にとって重大なリスクとなり得る」とし、「車載半導体メーカーと完成車メーカーの双方に財務的な圧力を与える可能性が高い」と分析している。
AIサーバー向けDRAMや、AI半導体に搭載される高帯域幅メモリ(HBM)の需要が爆発的に拡大する中、メモリ半導体価格の上昇基調は続いている。市場調査会社「トレンドフォース」によると、「昨年第4四半期にはDDR5需要の強さを背景に、DRAM価格が53~58%も急騰した」という。「今年第1四半期にはDRAM価格が60%以上上昇し、一部製品ではほぼ倍近くになる」との見通しを示した。
こうした価格高騰に加え、スマートフォンやPC、家電など幅広い分野で進む“メモリ不足”が、自動車分野にも波及するとみられている。これまで車載半導体に占めるメモリの比率は高くなかったが、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転、車載インフォテインメントの高度化に伴い、高性能DRAMへの需要が急増している。SDVの普及により、車両1台当たりのメモリ搭載量が大幅に増加しているとされる。
サムスン電子、SKハイニックス、マイクロンなど主要メモリメーカーの生産能力は、2027年まで大きく拡大しにくいとの見方が多く、車載半導体の需給逼迫も1~2年程度続く可能性がある。「IBK投資証券」のキム・ウンホ研究員は「グローバルIT大手によるAI投資が、HBMだけでなく汎用DRAMの需要も爆発的に押し上げている」と指摘。「サムスン電子とSKハイニックスの龍仁キャンパス稼働や、マイクロンの新規生産ライン立ち上げ時期を考慮すると、2028年までは供給の本格的な増加は限定的だろう」と述べた。
メモリ不足を背景に、車載半導体メーカーが設計の一部変更を余儀なくされるとの懸念も出ている。車載半導体は安全性確保のため、一般用途の半導体よりも長期の信頼性評価が必要とされるが、メモリメーカーの限られた生産能力により、評価を終えても十分な供給量を確保できない恐れがあるためだ。特に、DDR4など旧世代メモリからDDR5への移行を進めてきた企業への影響は大きいとみられる。
半導体業界関係者は「DDR4は生産が縮小されており、DDR5はAI市場に需要を吸い上げられて供給不足が続いている」とした上で、「一部企業では、メモリ搭載量を減らす形で製品設計の見直しを進めている」と明かした。













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