
米国とイスラエルが空爆でイラン最高指導者アリー・ハーメネイー氏を排除したことで、ロシアと中国の対応が限定的な理由に注目が集まっている。この事件は国際社会で米国の軍事力が依然として圧倒的優位を保っていることを示したとの評価が出ている。
英テレグラフは1日(現地時間)に「ハーメネイー氏の死はイラン政権の変化を超え、世界の権力構造の現実を露呈させた事件だ」とし、「特に中・ロの影響力の限界を確認した」と分析した。これまで国際政治では米国中心の秩序が弱まり、中国とロシアが台頭して多極体制が形成されているとの分析が続いていた。しかし、今回の作戦は軍事力の面で米国の優位が依然として絶対的であることを示したと同紙は評価した。

米国とイスラエルは戦争開始と同時にテヘラン中心部を精密攻撃し、ハーメネイー氏と核心指導部を排除したとされる。テレグラフはこの攻撃を「世界で真の力がどこにあるかを示した事件」と評価した。米国のドナルド・トランプ大統領は就任以来、軍事力を積極的に活用する戦略を選択した。同紙はトランプ大統領がベネズエラのニコラス・マドゥロ前政権崩壊に続き、イラン最高指導者排除まで断行し、強硬路線を強化したと分析した。
また、トランプ大統領は欧州同盟国と十分な協議なしに空爆を決定した。テレグラフは彼が国際協調よりも軍事力の使用を優先する戦略を選んだと評価した。ハーメネイー氏の死後、ロシアと中国が限定的な反応にとどまっている点も注目されている。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は哀悼の意を表し、「国際法違反の冷酷な殺害」と批判したが、軍事対応には出なかった。
テレグラフは「ロシアの支援に依存する国々に今回の事件は重要なメッセージを残した」とし、「ミサイルが落ちる時、ロシアにできることは哀悼声明を出すだけだという現実が明らかになった」と指摘した。ロシアはイランへの軍事支援を約束したが、S-400防空システムとSu-35戦闘機の供給は実際の戦力強化につながらなかった。中国も経済協力と一部の軍事技術支援を提供したが、戦略的な抑止力を形成するレベルには達しなかった。
特に中国は1日約140万バレルのイラン産原油を輸入しており、情勢不安が長期化すればエネルギー供給にも影響を受ける可能性があるとの見方が出ている。
米国の先端情報能力は今回の作戦成功の鍵とされている。テレグラフは米国が人工知能(AI)、サイバー侵入、高高度長時間滞空無人機などを活用して目標人物を追跡したと分析した。米国は歩行パターンや音声、電子信号などを活用して特定の人物を識別した後、精密攻撃能力を確保したとみられると同紙は説明した。同紙は「2011年リビアでムアンマル・アル=カッザーフィー氏を排除するのに数か月かかったが、今回ははるかに早く目標を排除した」と評価した。
ハーメネイー氏の死がすぐにイラン体制崩壊につながるかはまだ不確実だ。イラン革命体制は指導部排除のような衝撃にも耐えられるよう設計されている。専門家は権力構造が実際にどれほど弱体化したのかを判断するには時間が必要だとみている。
イランは9,000万人ほどが居住する多民族国家で、体制が揺らげば内戦の可能性も取り沙汰される。クルド人とアラブ系、アゼルバイジャン人、バルーチ族など少数民族の自治要求が噴出する可能性も指摘されている。テレグラフは初期軍事作戦の成功にもかかわらず、イランが混乱に陥れば状況が変わる可能性があると指摘した。
ロシアと中国はすぐに対応に出るのではなく、状況の変化を見守る可能性が高い。原油価格の上昇はロシア経済にプラスになる可能性があり、イラン問題が長期化すれば米国の負担が増える可能性があるからだ。同紙は「ハーメネイー氏の死は中・ロの影響力の限界を露呈させたが、状況が終わったわけではない」とし、「米国がイランで泥沼にはまれば、モスクワと北京には新たな機会が訪れる可能性がある」と展望した。
またテレグラフは非公式な反西側協力構造である「CRINKs(中国・ロシア・イラン・北朝鮮)」も今回の事件で打撃を受ける可能性があると分析した。
















コメント0