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「皇帝は中国を離れない」習近平のもとに21首脳が相次ぎ参上、朝貢秩序が復活か

有馬侑之介 アクセス  

引用:中国外交部
引用:中国外交部

最近、世界各国の首脳が相次いで北京を訪れ、中国の習近平国家主席との首脳会談に臨む動きが外交筋の注目を集めている。米国とイランの対立が長期化するなか、中国は各国首脳の相次ぐ訪中を機に、自国を多国間主義の中心軸として印象付ける狙いを強めた。習近平国家主席には、かつて中国皇帝を中心に成り立っていた朝貢秩序を想起させる象徴的効果も生まれているとの分析が出ている。

フィナンシャル・タイムズ(FT)が中国外務省と国営メディアの資料を集計した結果、今年に入って5か月間で、国家元首または政府首脳の計21人が中国を訪問した。トルクメニスタン、ウルグアイ、モザンビークの首脳に加え、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相、スペインのペドロ・サンチェス首相、カナダのマーク・カーニー首相、英国のキア・スターマー首相など西側主要国の指導者も含まれる。

米国のドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領も最近、習近平国家主席と相次いで首脳会談を行った。今週はパキスタンのシャバズ・シャリフ首相とセルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領が北京を訪れた。

専門家は、こうした外交の動きが、中国にとって国際社会で信頼できる多国間主義国家というイメージの構築に役立つと評価している。議論を呼ぶ貿易政策や軍事的行動、ロシアや北朝鮮との接近にも関わらず、外交の中心国家として存在感を示せるとの見方もある。

同時に、中国国内では過去の朝貢体制を想起させるとの解釈も出ている。周辺国の王や使節団が皇帝のもとを訪れ、朝貢を行っていた外交秩序が現代的に再現されているというものだ。中国現代史の専門家のジョン・デルーリー氏は「中国の人々には、世界各国の指導者が中国を訪れる姿が、自然な秩序の回復のように映る」と述べ、「皇帝は決して中国を離れなかった」とFTに語った。

引用:ASPI
引用:ASPI

習近平国家主席は海外日程も大幅に減らしている。今年はまだ1度も海外訪問に出ておらず、昨年も外国訪問は6回にとどまった。アジア・ソサエティ政策研究所(ASPI)中国分析センターのニール・トーマス研究員は「新型コロナウイルスのパンデミック以降、習近平国家主席の海外歴訪は中国の周辺国や中央アジア、東南アジアのパートナーに集中した」と説明し、これらは「米国が相対的に関心を向けてこなかった地域だ」と指摘した。

習近平国家主席が国際会議より、北京での個別首脳会談を好んでいるとの分析もある。相対的に力の弱い国々に影響力を行使し、二国間外交モデルを強化しようとしているとの見方だ。

シンガポールの研究機関カーネギー・チャイナのダミアン・マー所長は「中国にとって欧州への道はブリュッセルではなく、ベルリンとパリだ」と述べた。東南アジアについても「中国はASEAN全体より、個別の国と向き合う方式を好む」と語った。

元カナダ外交官のマイケル・コブリグ氏は「トランプ大統領を意識したかのように、西側首脳が先を争うように北京へ向かう場面は、『中国の台頭と米国の衰退』という習近平国家主席の構図をさらに強めるものだった」との見方を示している。

専門家は最近の軍高官の粛清などを踏まえ、習近平国家主席が次の任期をにらんで国内政治の掌握に力を入れる可能性が高いと見ている。マー所長は「表向きには目立たないが、実際には中国はすでに次の権力構図をめぐる政治局面に入っている」と分析した。そのうえで「習近平国家主席にとっては、海外を回り続けるより国内にとどまる方が有利になる」と述べた。

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