
人工知能(AI)が事務職の業務を急速に代替する可能性があるとの懸念が広がるなか、米国のZ世代の進路選択にも変化が現れている。高額な学費を払って大学に進学する代わりに、電気工事や配管、溶接など、現場で即戦力となる技能を学ぼうとする若者が増えている。
ニューヨーク・タイムズによると、米国の若者の間では、大学よりも職業学校や技術教育課程を選ぶ動きが広がっている。大学の学費が大幅に上昇したうえ、AIの発展によって事務職の雇用の安定性まで揺らいでいるためだ。
職業・技術教育を中心に運営される公立の2年制学校の在学生は、2020年から2025年までに約20%増加した。企業の見習い制度や私立の職業学校に登録し、実務に必要な技能を身につける学生も着実に増えている。
両教育課程の費用差も大きい。米国の私立大学で4年間学ぶために必要な平均費用は約20万ドル(約3,250万円)で、30年前と比べて2倍近くに上昇した。一方、大半の私立職業学校では、教育課程全体にかかる費用が2万5,000ドル(約410万円)を下回る。
カリフォルニア州ロスバノス出身のローガン・バンガートさん(18)は、ペンシルベニア州立大学のアメリカンフットボール部の入部試験に合格したものの、大学進学を断念した。年間の学費だけで5万ドル(約810万円)を超えることが負担となったためだ。
代わりに職業学校へ進学したバンガートさんは、現在、テキサス州ヒューストンで風力タービンのブレードを修理する仕事に就いている。年間収入は8万~9万ドル(約1,300万~1,460万円)ほどだ。バンガートさんは「多くの人がAIによって仕事を失うのではないかと心配しているが、少なくとも当面、私はそうした心配とは無縁だ」と語った。
ラドナ・グラスさん(23)も、大学ではなく技術職を選んだ。青少年セラピストを目指して2021年にミシシッピ州立大学へ入学したが、1年で中退し、その後、電気技師へと進路を変更した。
現在、グラスさんは時給21ドル(約3,400円)で働いており、国際電気労働組合(IBEW)の正組合員資格を取得するための教育も受けている。IBEWに所属する電気技師の平均年収は約9万ドル(約1,460万円)とされている。
技術職の人材需要が高まるなか、こうした職業に対する否定的な見方も改める必要があるとの指摘が出ている。
非営利団体「ブリング・バック・ザ・トレーズ」のシャナ・ブルーニ最高執行責任者は、「大衆文化では、技術職に従事する人が知的能力に乏しい人物のように描かれることが多い」としたうえで、「こうした固定観念が、今後人手不足が予想される分野に若者が進出するのを妨げている」と述べた。















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