
日産自動車が英国・サンダーランド工場の遊休生産ラインを、中国の奇瑞汽車(チェリー)の車両受託生産の受け皿として活用する方向で検討を進めている。欧州で攻勢を強める中国勢の生産を自社工場に受け入れることで、工場稼働率の引き上げを図る狙いがある。
日産は3日、英北部サンダーランド工場においてチェリーの車両を受託生産するための検討に着手したと発表した。両社は法的拘束力を伴わない覚書を締結しており、今後数か月をかけて具体的な交渉を進め、早ければ2027年度からの生産開始を目指すとしている。
低稼働率が課題に、生産ライン共有で効率化を目指す
今回の協議の背景にあるのは、サンダーランド工場の慢性的な稼働率低下だ。調査会社マークラインズのデータによれば、2025年の同工場の稼働率は45.5%にとどまり、2023年比で8.7ポイント低下している。日産は同状況を打開するため、2026年5月に車両生産を第2ラインへ集約する方針を発表した。稼働を停止した第1ラインは固定費負担として残ることになるため、日産は空いたスペースの活用相手として、欧州市場での展開を加速させているチェリーとの協議に踏み切った。
今回の協業が実現すれば、日産は工場設備の所有権と従業員の雇用を維持しながら、チェリー車両の受託生産を担う形になると見込まれる。固定費の分散と稼働率の回復につながる日産と、関税障壁を回避して欧州生産拠点を確保できるチェリー、双方に利点のある選択だという見方もある。
欧州市場の変化と中国勢の台頭
欧州市場では中国メーカーの存在感が一段と高まっている。とりわけチェリーは価格競争力を前面に出して欧州内でのシェア拡大を図っており、自動車業界では今回の日産の判断について、中国車を排除するのではなく生産網に取り込んで市場の変化に対応しようとする実務的な判断とする見方が広がっている。
協議の行方を左右する課題も残る。生産品質基準の擦り合わせに加え、EUおよび英国の対中国自動車関税政策の動向が焦点となっている。既存メーカーが自社工場を競合他社と共有する形の協業が欧州の生産構造にどのような影響を与えるか、今後の動向が注目される。
2027年度の生産開始が実現するかどうかが、日産の欧州事業立て直しに向けた大きな試金石となりそうだ。













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